地方税の算定根拠となる基準財政収入額と基準財政需要額・他の自治体の財政状況との比較に使われる比率の分母となる標準財政規模と、財源の構造をモデルにしたものです。自治体研究社「市町村財政分析」にある図表を若干アレンジしたものです。

 また最後に、人口規模がほぼ同じである藤沢市の財政状況との比較を載せました。



普通会計の財源構成モデル

                 
  特定財源 地方債          
  国支出金          
  県支出金          
  その他特定財源          
  一般財源 臨時一般財源 その他臨時一般財源          
  地方交付税(特別)          
  臨時財政対策債      




 
  経常一般財源 地方交付税(普通)      基準財政
需要額
 
  地方譲与税など 標準
税収入
基準財政
収入額
 
  普通税  
  75%  
  25% 留保財源  
                 

基準財政需要額と基準財政収入額


基準財政需要額 - 基準財政収入額 = 財政不足額 ≒ 普通交付税額


 横須賀市の基準財政収入額は49,938,759千円、基準財政需要額62,290,527千円と大きな開きがります。一方藤沢市は、収入額66,041,239千円、需要額60,488,847千円と、いわば黒字となっています。ですから藤沢市は不交付団体ということになります。(数字はR元年度)

  基準財政需要額 基準財政収入額 財源不足額 普通交付税額
横須賀市  62,290,527千円  49,938,759千円  12,351,768千円 12,294,837千円 
 藤沢市  60,488,847千円 66,041,239千円


標準財政規模と標準税収入の関係性


標準税収入額等+普通交付税額+臨時財政対策債発行額=標準財政規模


 次に、標準財政規模と標準税収入の関係についてです。標準財政規模は標準税収入と普通交付税と臨時財政対策債発行額を足した額で、標準的な状態で通常収入されるであろう経常一般財源の規模をさします。

 地方交付税の不交付団体は、上の式の普通交付税額と臨時財政対策債発行額がありませんから、標準税収入額と標準財政規模の額は同じになります。

 ちなみにこの年の藤沢市の経常一般財源は84,842,527千円と、標準財政規模を大きく上回っています。いかに藤沢市の財政が潤沢であるか、この数字からもうかがい知ることができます。

  標準財政規模 標準税収入額 経常一般財源
横須賀市 82,779,959千円 63,591,523千円 79,507,084千円 
 藤沢市 86,144,671千円 86,144,671千円 87,637,198千円


まとめ


  説 明
 基準財政収入額 各自治体の人口等の要素を勘案し、経常一般財源に充てることのできる地方税を中心とした(交付税を含まない)収入がこれくらいあるだろうと国が算定した額。
標準税収入のうちの普通税の25%を留保財源*として差し引いている。
 基準財政需要額 各自治体の人口等の要素を勘案し、これくらいの経常一般財源が必要だろうと国が算定した額。
地方交付税(普通) 基準財政需要額から基準財政収入額を引いた額が公布される。
標準税収入との差額でなく、別途基準財政収入額との差にすることで、地方交付税額は増えている。
 標準財政規模 当該の自治体の標準的な財政の規模
標準税収入に普通地方交付税と臨時財政対策債発行額を加えたもの。
自治体ごとの財政の状況の比較や当該自治体の経年の比較ができる。
将来負担比率などの財政指標算出の際の分母となる。
 標準税収入額  当該の自治体の標準的な税収入
普通税と地方贈与税等を加えたもの。


*留保財源
留保財源は、「基準財政収入額の算定においては、法定普通税等の税収見込額の全額を算入対象とせず、基準税率を乗じてその一部を算入しているが、この基準財政収入額に算入されなかった税収入は、地方交付税の算定上捕捉されず、各地方公共団体に留保されることから、留保財源と呼ばれている。なお、留保財源率は都道府県、市町村とも税収見込額の25%とされている。」とあります。


藤沢市との比較

 市の財政状況がある程度わかってきたので、次に他市との比較を行ってみます。県内で横須賀市と人口がほぼ同じといえる市に藤沢市があります。藤沢市はかつては横須賀市より人口が少なかったですが、現在では横須賀市の方が少なくなりました。また、藤沢市は不交付団体なので、財政状況はとてもよい自治体と言えます。単純な比較はできないでしょうが、何かヒントがあるかもしれません。  

  平成27年度 令和元年度  
横須賀市 藤沢市 横須賀市 藤沢市 比較検討
人  口(人) 414,664 426,024 401,050 436,206 藤沢市の人口は、県内で最も横須賀市と近い数字です。藤沢市は微増、横須賀市は減少が続いています。
産業
構造
第1次(%) 1.0 1.1 1,0 1.1  
第2次(%) 18.9 24.0 18.0 23.8 本市は、第2次産業従事者が比較的少なく、その分第3次産業が多いのが特徴的です。
第3次(%) 80.2 74.9 81.0 75,1
基準財政需要額(千円) 60,908,098 59,757,255 62,290,527 60,488,847 基準財政需要額は、それほど差はありませんが、基準財政収入額は、その主力である市税収入に差があるため、この結果となっています。
基準財政収入額(千円) 49,009,767 63,125,277 49,938,759 66,041,239
経常収支比率(%) 96.1 92.0 102.4 92.8 経常収支比率は、財政の余裕度を表し、100%で硬直化を意味しますから、本市は余裕がなく弾力性を欠いている状態と言えます。特に公債費の比率が大きくなっています。
  人件費(%) 27.1 28.6 27.7 29.1
  公債費(%) 17.6 9.8 19.5 10.1
財 政 力 指 数 0.80 1.05 0.82 1.06 藤沢市は1を超えている地方交付税不交付団体です。
健全化
判断
比率
実質公債費比率(%) 6.5 1.8 6.6 2.3 将来負担比率は、自分の子どもたちが大人になったときの負担の度合いですから、少ない方が住みやすく選ばれる街といえるでしょう。藤沢市はこの間、大幅に増加しています。
将来負担比率(%) 55.6 18.3 31.4 47.1
歳 入 総 額(千円) 144,479,557 142,369,461 164,111,768 156,863,704 歳入には国からの地方交付税や借金である市債も入りますから、歳入・歳出総額は似たような数字となっています。しかしこの数字は表面的なものですから、次の単年度収支や他の指標を参考にする必要があります。
歳 出 総 額
(千円)
140,584,917 137,040,821 160,949,339 151,999,652  
実 質 収 支(千円) 3,332,719 5,069,686 2,805,076 4,005,932  
単 年 度 収 支(千円) △ 92,358 332,980 △745,526 △1,666,285 単年度収支は、この1年で黒字をどれだけ増やしたかを表します。本市はマイナスですから、赤字が増えたことを意味しています。
実質単年度収支(千円) △ 88,505 109,457 △3,799,043 △396,278  


*数字は、総務省ホームページ「市町村別決算状況調」によります。

参考文献
・「横須賀市財政基本計画」
・「市町村財政分析」自治体研究社
データ
・「地方財政状況調査関係資料」総務省
・「市町村別決算状況調」総務省 2市町村別決算概況 1都市別 (1)概況
・「令和元年度市町村決算カード」藤沢市